第8章 お客さまニーズへの対応

  • HOME »
  • 第8章 お客さまニーズへの対応

スポンサードリンク

●お客さまの要望に応える・・・生命保険は長期にわたるものであり、契約期間中にお客さまのライフサイクル上の変化や経済的なニーズの変化、緊急の出費など予測できない事態が生じることもあります。私たちは契約時だけではなく契約後も継続したアフターサービスを提供し、お客さまの要望に応えていかなくてはなりません。

●お客さまにとってより役に立つアドバイス・・・生命保険の知識だけでなく、税務に関することなど幅広い知識を身につけ、お客さまにとってより役に立つアドバイスができるようになることが必要です。


Ⅰ.生活設計とコンサルティングセールスの重要性


1.お客さまの動向と多様なニーズ

生命保険文化センターの「全国実態調査」
●生命保険の加入状況・・・世帯加入率89.8%。普及率からいえば「一巡化」したといえますが、これがお客さまのすべてのニーズを満たしているとは限りません。

●加入目的・・・「万一の場合の家族の生活保障のため」の割合が依然として高い一方で、「医療費・入院費のため」という目的で生命保険に加入する人の割合が「万一の場合の家族の生活保障のため」の割合を上回るなど、医療保障の充実を求める人が増えています。また、「老後の生活資金のため」などの貯蓄機能に対するニーズもみられます。

●世帯主の保障額・・・「万一のために必要と考える家族の生活資金」は5,691万円であるのに対し、実際の加入状況は1,386万円であり、約4,000万円もの差があります。実際は年収の10倍近くの保障額を必要と考えています。

●配偶者の生命保険への加入率・・・80.3%であり、配偶者の死亡保障や医療保障へのニーズも高まっています。

●保障の見直し・・・いつ、どのような生命保険がどのくらい必要かということを、お客さまの生活設計に合わせて優先順位を考えておすすめし、さらに加入後はお客さまのニーズにいつも対応できるような保障の見直し活動が必要です。


2.必要な経済準備資金と設計販売

(1)ライフサイクルと生活設計

●ライフサイクル・・・一般に、私たちの長い人生には、社会人として自立する時期、結婚をして家庭を形成する時期、老後に対して本格的に備える時期などいくつかの段階があり、これらの段階の変化をライフサイクルと呼びます。

●経済準備資金・・・ライフサイクルのそれぞれの段階で、その目的に応じて子どもの教育・結婚資金や住宅資金などのさまざまな資金が必要となってきます。これが経済準備資金で、家庭経済にとっては、将来のライフサイクルのどの時期に、どのような経済準備資金が、どれくらい必要かということをしっかりつかみ、それに対する準備をすること、つまり将来の生活設計を確実に立てることが大切です。

●2つの視点・・・将来の生活設計を立てる場合は、災害、事故、死亡などの不意に起こる「突然のできごと」と、結婚、出産、子どもの教育、住宅取得などのような「予測できるできごと」の2つの視点が必要です。

●「突然のできごと」・・・「予測できるできごと」は、ライフサイクルにあわせて、計画的に準備することができますが、「突然のできごと」は、いつ、どこで、どのようにして起こるかわかりません。もし起こった場合にも計画を変更しなくてすむよう、「突然のできごと」に備えた生活設計を立てることが重要です。


(2)経済準備資金

「遺族生活資金」・「老後生活資金」・「医療資金」・「子どもの教育・結婚資金」・「住宅資金」・「緊急予備資金」・「レジャー資金」・「相続対策のための資金」などが考えられます。


(3)生活設計アドバイス

●コンサルティングセールス・・・お客さまのニーズを正しく把握し、そのニーズに応えて、コンサルタントとして家庭経済の問題を解決するために、さまざまな情報を提供し、相談にのり、お客さま意向に合った生命保険を提案するコンサルティングセールスを行うことが大切です。

●「設計販売」の手順・・・お客さまの情報を収集・整理し、生活設計書、保険設計書を作成したうえで生命保険を提案します。

●実際の設計販売・・・より具体的に、「何年後に」「何のために」「どのくらい」「どのような方法で」というお客さまの立場に立ったアドバイスをします。

●生活設計書・・・その世帯の家族構成や年齢、現在準備している資金などの情報を収集し、生活設計書によって、その世帯の将来必要とする経済準備を明らかにします。

●準備する資金・・・遺族生活資金、老後生活資金、教育・結婚資金、住宅資金、緊急予備資金など目的に応じていろいろありますが、生活設計におけるすべての資金を一度に準備することは困難ですので、私たちがお客さまのライフステージの中で、緊急度・必要度の高いものの優先順位や金額などを適切にアドバイスし、保険設計書により具体的な準備手段を提案します。

●「保障機能」と「貯蓄機能」・・・加入商品や付加する特約により生命保険には2つの機能、つまり「保障機能」と「貯蓄機能」をもたせることができます。2つの機能をもたせた場合、「突然のできごと」と「予測できるできごと」のどちらも備えることができます。


多様なニーズへの対応(標準的な事例)

1.独身期(主に20歳代)

(1)独身期の特徴とニーズ

●ライフサイクル面からの特徴・・・「結婚」「子どもの誕生・教育」、それらに伴い増大する「世帯主としての責任の重さ」といったところを近い将来に考える必要があります。

●万一の保障・・・増大する責任の重さを考えると、万一の保障が必要であると同時に、20歳代の死因第2位が「不慮の事故」であることを考慮すれば、災害時の死亡保障も必要となります。

●20歳代の特徴・・・貯蓄計画も当面の結婚資金の準備が中心であり、レジャーや耐久消費財の購入にも熱心。

●医療保障・・・スポーツなどでけがをしてしまう場合もあり、けがや病気などに対応する医療保障の準備も必要です。

①結婚資金
●「結婚費用がいくらかかるか」・・・結婚は大きなライフイベントのひとつであり、結婚費用は重大な関心事です。

②レジャー資金
●余暇の充実・・・生活をしていくうえで、レジャー・趣味などで余暇生活を充実させたいという傾向は年々強くなってきており、余暇の楽しみ方も多様化しています。

●ローンやクレジットの普及・・・20歳代では所得も多くなく、レジャー資金が不足がちとなり、ローンやクレジットを利用する機会が多くなってきています。

●資金計画・・・各世代において、レジャーの範囲は広がっており、月々の支払の範囲内で可能なものから、資金計画として短期あるいは中期の生活設計に組み込んだプランを立てなければならないものまでさまざまです。


(2)アドバイスのポイント

●保障額・・・この年齢層は、生命保険の未加入者が比較的多いですが、近い将来責任が重くなれば保障額の大きな生命保険が必要になります。

●セールスポイント・・・災害時の死亡保障の必要性(不慮の事故が死因の第2位)、生命保険料控除(所得控除)の活用、けがや病気などの医療保障の必要性、同じ保障額でも契約年齢が低ければ保険料が安いことなどを訴えます。

●結婚資金、レジャー資金の準備手段・・・貯蓄性の高い生命保険(貯蓄保険、養老保険、生存給付金付定期保険、財形貯蓄積立保険など)、預貯金などがあります。


2.家族形成期(主に30歳~40歳代)

(1)家族形成期の特徴と必要保証額の計算

●「遺族生活資金」を中心に必要保障額とその不足額を確認
【事例1】


①夫は、世帯主として「家族への責任が最も重い時期」であり、万一の場合の遺族生活資金が不十分であれば、保障の見直しが必要です。

②2人の子どもが将来大学まで進学することを前提に、教育資金の準備をする必要があります。親が負担する子どもの結婚資金は今すぐに準備する必要はないものの考慮は必要です。

③住宅(団信加入済み)ですが、他に死後の整理資金などの緊急予備資金は、考慮しておかねばなりません。

④老後生活資金の問題もいずれ考えなければなりません。


<遺族生活資金>・・・夫の万一の場合に末子が大学を卒業するまでの生活資金「家族の生活資金」と、その後の妻1人の生活資金である「妻の生活資金」の合計額。
(ア) 家族の生活資金=月間生活費×0.7×12ヵ月×(22歳-末子の現在年齢)
(イ) 妻の生活資金=月間生活費×0.5×12ヵ月×末子の大学卒業(22歳)時の妻の平均余命
(ウ) 遺族生活資金=(ア)+(イ)



<教育資金>・・・夫の生死にかかわらず大きな負担になります。特に、大学が医科歯科系学部の場合や下宿が必要な場合はより高額になります。

●教育費・・・幼稚園から大学までの教育費は、オール国公立(自宅通学)で約1,100万円、オール私立(私立文系大学で下宿)で約2,800万円を要します。

●【事例1】では、2人の子どもが大学まで進学するものとして合計2,500万円かかるものとします。

<医療資金・介護資金>
●【事例1】では、公的な社会保険と加入済みの生命保険で対応します。

<緊急予備資金・その他>
●緊急予備資金・・・最も緊急性のある資金であり、主に「不時の出費資金」と「死後の整理資金」などがあります。
・不時の出資資金・・・天災などのため壊れた家屋の修理費用など日常の収入でまかなえない出費に備える資金、現在の月間生活費の3カ月分程度を用意しておくのが通常といわれています。
・死後の整理資金・・・死亡に伴う葬儀費用・借金の返済などに備えた準備資金。葬儀には、葬式・お布施・仏壇・墓地その他の費用が必要であるといわれています。

●【事例1】では、不時の出費資金として100万円、夫の死後の整理資金として300万円必要であるとして、緊急予備資金は合わせて400万円とします。

●【事例1】では、「住宅資金」「子どもの結婚費用」は考慮せず、「老後の生活資金」は今は考慮しない。

●準備済み資金
●必要保障額の不足額を計算する場合、準備済みの資金として、公的年金や預貯金、生命保険などを差し引く(相殺する)必要があります。

●【事例1】では、夫の生命保険3,000万円、弔慰金200万円、預貯金300万円があります。
公的年金は、遺族基礎年金と報酬比例部分からなる遺族厚生年金が支給され、妻は国民年金の保険料を継続して支払うことを条件に65歳以降は自分の老齢基礎年金が加算されます。【事例1】では、公的年金の合計受給額は概算で約7,600万円と推定します。

<必要保障額に対する不足額>
(ア) 必要保障額の合計・・・遺族生活資金(1億1,628万円)+教育資金(2,500万円)+緊急予備資金(400万円)=1億4,528万円
(イ) 準備済み資金の合計・・・生命保険(3,000万円)+弔慰金(200万円)+預貯金(300万円)+公的年金(7,600万円)=1億1,100万円
・不足額・・・(ア)ー(イ)が現在の不足額で、約3,400万円となります。


(2)アドバイスのポイント

●実際にお客さまに説明する場合・・・仮定計算の概算値であることをしっかりと伝えます。現実には、残された遺族の生き方や生活価値観等が、その後の生活費や収入に直接影響してくることになり、人それぞれのライフデザインの描き方によって「生活設計」は大きく変わります。

①死亡保障・・・この年代では、年間収入に対して世帯平均の貯蓄はあまり多くなく、考える必要保障額(5,691万円)と実際の加入保険金額(1,386万円)との乖離幅(4,305万円)が特に大きいことが特徴です。世帯主としての責任は大きく重い中で、現在の加入額に対する充足感は弱いため、割安な保険料負担で大きな保障を備えることができる定期保険(特約)の活用が有効となります。

②教育資金・・・夫の生死にかかわらず必要な教育資金は、今から準備しておく必要があります。貯蓄性の高い養老保険・貯蓄保険やこども保険など、着実に準備できる商品が望ましいです。特にこども保険は、契約者(夫)が死亡した場合の保険料払込免除等の特長もあり、子ども2人の教育費準備ができれば必要保障額の不足分も埋め合わせすることができます。


3.老後生活設計期(主に40歳~50歳代)

(1)老後生活設計期の特徴と必要保障額の計算

●「老後生活資金」を中心に必要保障額とその不足分を確認
【事例2】

①夫に万一のことがあった場合の遺族生活資金は。生命保険の加入があり、子どもも独立しており、すでに準備ができています。

②夫婦2人の老後生活資金については、自営業のため退職金や企業年金がなく、65歳以降の収入は国民年金のみとなるため、ゆとりある老後生活をおくるためには緊急の課題となります。

③住宅は取得済みでローンも完済していますが、住宅資金として将来の修繕関係費は必要となります。

④特に自営業の場合は、病気等による就業不能状態は家計に大きく影響することに注意する必要があります。

<老後生活資金>・・・定年(引退)時から夫婦2人で生活していく期間の「夫婦の老後生活資金」と、夫死亡時から妻が1人で生活していく期間の「妻の老後生活資金」の合計額。
(ア) 夫婦の老後生活資金
現在の月間生活費の7割を夫婦の月間老後生活費として見積もり、定年時の夫の平均余命の期間を夫婦2人の必要期間として算出します。
月間生活費×0.7×12ヵ月×定年時の夫の平均余命
(イ) 妻の老後生活資金
現在の月間生活費の5割を妻の月間老後生活費として見積もり、夫死亡時における妻の平均余命の期間を必要期間として算出します。
月間生活費×0.5×12ヵ月×夫死亡時の妻の平均余命
(ウ) 老後生活資金=(ア)+(イ)


<医療資金・介護資金>
●医療資金・・・大きなけがや病気で診療や入院加療を行った場合などは、特殊検査の実費や差額ベッド料など、医療保険制度(健康保険および国民健康保険等)で定められた自己負担分以外の費用がかかります。

●介護資金・・・「寝たきり」や「認知症」の高齢者が確実に増加することが予想され、大きな社会問題になっています。社会保険制度として介護保険制度がありますが、要介護・要支援状態と認定されず、サービスを受けられない場合があることや、費用が支給限度額以内の場合は費用の1割~3割、限度額を超える場合はさらに限度額を超えた費用の全額が自己負担になる等、被保険者にとって大きな負担となることが予測されます。

●【事例2】では医療保険や介護保険などの加入が必要と思われますが、公的な社会保障や貯蓄を考慮し、必要保障額としては計算しません。

<緊急予備資金・その他>
●【事例2】では緊急予備資金は400万円とし、住宅資金は考慮しません。

<準備済み資金>
●夫の生命保険として65歳以降の終身保障部分(500万円)、預貯金(1,000万円)があります。公的年金として、老齢基礎年金が支給され、夫婦とも保険料納付期間40年として、令和5年4月時点で満額の年金年額(795,000円)とそれぞれの平均余命による受取期間から年金受給合計額を概算すると、夫が約1,590万円、妻が約2,150万円、合計約3,740万円となります。

<必要保障額に対する不足額>
(ア) 必要保障額の合計=老後生活資金(8,610万円)+緊急予備資金(400万円)=9,010万円
(イ) 準備済み資金んの合計=生命保険(500万円)+預貯金(1,000万円)+公的年金(3,740万円)=5,240万円
・不足額・・・(ア)ー(イ)が現在の不足額で、3,770万円となります。この不足額は公的年金の合計受給額に匹敵します。


(2)アドバイスのポイント

●自助努力による対応・・・この世帯では会社員世帯と異なり退職金・企業年金がなく、国民年金では厚生年金のように報酬比例の二階建て部分の年金もありません。老後生活資金の不足額はこの意味でも大きく、国民年金基金や個人年金保険など自助努力による対応が必要となり、保障と貯蓄の両機能を兼ね備えた貯蓄性の高い養老保険などの利用も有効な手段のひとつとなります。

●医療費・介護費用・収入保障対策・・・けが・病気等による予定外の医療費や介護費用の発生は、収入の柱である飲食店事業の運営やその後の生活に大きな影響をおよぼすため、夫婦ともに医療保険や介護保険への加入、所得補償保険などの収入保障対策も必要となります。


4.老後生活準備期の特徴とニーズ

●50歳~60歳代の特徴・・・子どもも独立間近で、また住宅ローンの返済も残り少なくなり、毎月の収支も幾分楽になります。しかし、子どもの独立・結婚に続いて自分自身の定年退職が近づいているので、老後生活の本格的な準備が必要です。また、具体的な相続対策も必要です。さらに健康に対する不安も一層大きくなる年代であり、医療・介護資金の必要性も現実的になってきます。

<相続(税)対策と生命保険の活用>
●対策に最適・・・相続が起こると、相続に伴う遺産の分割や相続財産の大きさによって相続税の納付などの問題が生じますが、生命保険はこれら問題に対する準備にも適しています。

①相続対策
・財産の細分化の影響・・・農業従事者や商店の経営者等が死亡し、複数の相続人がいた場合、それぞれの相続人に応じて田畑や店等を細分化したのでは、経営が成り立たなくなるおそれが多分にあります。

・代償分割・・・家業や財産の細分化防止には、たとえば、相続人の1人が代表して家業や財産を継ぎ、その者が他の相続人に対して相応分の現金等を代償として贈与する方法があり、これを「代償分割」といいます。

・生命保険の活用・・・この代償分割で贈与する現金を生命保険で準備すれば、遺産分割問題が解消され、「相続」が「争族」にならないですみます。

②相続税対策
・相続税の納付・・・相続税は現金で納めるのが原則です。現金や預貯金がなければ土地などの相続財産やその他の財産を売って、相続税を納めなければなりません。相続財産が事業用の不動産や動産ばかりであったときには、その財産の処分は、事業の継続そのものを不可能にします。

・生命保険で準備・・・このような場合、被相続人が相続税相当の生命保険に加入しておけば、相続人はその保険金で相続税を納めることができ、財産全額を相続できます。

・相続税の対象・・・生命保険金もみなし相続財産として相続税の課税対象となるので、生命保険金にかかる相続税額を見込んだ保険金額にする必要があります。

・相続税の軽減・・・契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人の場合、被保険者の相続人が受け取った死亡保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額は相続税法上非課税となります。

・二次相続時の相続税準備・・・子供のいる夫婦で一方が死亡したときの相続(一時相続)には、配偶者に対する税額軽減があり、相続税の軽減が図られています。しかし、残された配偶者が死亡し子どもが相続したとき(二次相続)には、配偶者の税額軽減がないので、遺産総額が同じ場合には二次相続のほうが相続税額が高くなります。そのため配偶者だけの相続税準備では万全とはいえず、生命保険を活用した二次相続時の相続税準備をするアドバイスが大切です。


(2)アドバイスのポイント

●保障の見直し・・・この年代は、加入していた保険が満期を迎えたり、高額保障期間が満了したりする時期、遺族生活資金や相続対策などの死亡保障と、夫婦の老後生活資金などのため、終身保険や年金保険などの準備が十分であるかなどの見直しをアドバイスします。他の年代に比べ毎月の家計の収支も楽になる時期であるため、支払い可能な保険料も高く、また、満期保険金や退職一時金を利用しての頭金制度や一時払の活用も考えられます。

●相続対策・・・一部資産家の問題と思われがちですが、相続税額の大きさや相続資産の分割方法などが、一般の家庭でも重要な問題となっています。そこで、生命保険を活用した相続(税)対策なども訴えます。

●医療資金・介護費用・・・医療資金は、預貯金の他、生命保険の災害・疾病関係の保険金・給付金や契約者貸付の活用が考えられ、介護費用の準備手段として、生命保険への期待も高くなっています。


5.女性市場

(1)女性市場の特徴とニーズ

●女性のライフサイクル・・・平均寿命の延びと出生率の低下で大きく変化しています。人生100年といわれる現代では、女性の50歳というと、子どもが独立する時期であり、まだ50年の人生が残っています。

●女性の職場進出・・・男女雇用の機会均等などにより職場進出が進んでいます。令和4年の労働力調査では、女性の労働力人口は3,096万人で、労働力人口に占める女性の割合は約45%となっています。

●女性の保険加入率・・・以前であれば、「夫の生命保険の受取人」という形で未加入が一般的でしたが、近年は勤労機会の増大による女性の経済力の高まりから加入率が増え、令和4年度では83.6%に至っています。

●加入目的の相違・・・男性の場合、「死亡保障」と「医療保障」がほぼ同じ割合ですが、女性の場合は「医療保障」を主な目的として加入する傾向が高いです。また、「老後保障」や「貯蓄」は、男性と比較して高い傾向にあります。


(2)アドバイスのポイント

①「死亡保障」
●女性に対する保障・・・現在15歳~64歳の女性の就業率は約7割であり、女性の経済力に対しての保障がこれからますます必要になってきます。

●専業主婦の場合・・・家事労働によって家族が得ている利益に対する保障が必要になります。

●女性ドライバーも多い・・・免許保有者数8,184万人のうち、女性は3,751万人(警察庁 運転免許統計 令和4年度版)で、事故に対する保障も必要です。

●死亡保障商品・・・女性を取り巻く社会環境の変化の中で、女性も一定の死亡保障商品を準備することが必要になってきました。

②「医療保障」
●ニーズの高まり・・・生活習慣病の他、女性特有の病気による入院も多く、女性疾病特約などのニーズが特に高まってきています。

③「老後保障」
●資金準備・・・核家族化が定着した現在、豊かな老後のためには、経済的にゆとりがもてるような準備が必要といえます。また、夫死亡後の妻1人の老後についても生活設計上忘れてはならないです。年金保険などで老後の準備をすすめることにより、豊かな老後はもちろん、夫死亡後の妻の生活資金を確保することができます。

④「介護保障」
●介護保障に対するニーズ・・・60歳以上の高齢者を介護している者のうち、女性が全体の7割を占めています。介護をする人自体の高齢化も進み、高齢者の介護を高齢者がする「老老介護」が広がってきています。核家族化、女性の会社進出に伴い、家族が介護の担い手として対応できなくなったり、対応してもその負担に耐えられないケースが増加し、女性にかかる負担は、肉体的・精神的・経済的にも大きく、今後の介護保障に対するニーズは大きくなることが予想されます。

⑤貯蓄
●目的をもった貯蓄・・・単に貯めるだけではなく、生活設計を考えて目的をもった貯蓄(商品)をすすめることが大切です。

PAGETOP
Copyright © 生命保険専門課程試験に一発合格! All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.