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第2章 生命保険の仕組みと約款

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Ⅰ.生命保険の種類と仕組み

1.保険種類と利用目的

(1)生命保険の基本型

●3つの基本型・・・①死亡保険、②生存保険、③生死混合保険に分類できます。


①死亡保険・・・被保険者が死亡または高度障害になったときにだけ保険金が支払われます。定期保険、終身保険、定期保険特約付終身保険がこれにあたります。


②生存保険・・・被保険者が一定期間生存したときにだけ保険金が支払われます。実際の商品では、個人年金保険、貯蓄保険などのように生存保険を主体に各種の死亡保障が付加されています。


③生死混合保険・・・死亡保険と生存保険を組み合わせた保険で、被保険者が保険期間の途中で、死亡または高度障害になったときも、保険期間満了まで生存したときも保険金が支払われます。養老保険、定期保険特約付養老保険が代表的です。


(2)その他の分類

定額保険と変額保険・・・契約時に定めた死亡保険金額や満期保険金額などが保証されている定額保険と、特別勘定資産の運用実績によりその金額が変動する変額保険(変額個人年金保険を含む)があり、変額保険は、運用リスクを契約者自身が負う(自己責任原則)となっています。


第三分野の保険(医療保険・傷害保険・介護保険等)・・・人の生死以外の病気やけがを主な保険事故とする医療保険や傷害保険、介護保険等。生命保険会社も損害保険会社も取り扱うことができ、死亡保険金はないかあってもごく少額な場合が多いです。


(3)保険種類と利用目的

①個人を対象とした主な保険種類
【定額保険】

定額保険・・・死亡・高度障害の保障を目的としたもの。5年、10年など、一定の保険期間内に死亡または高度障害になったときには保険金が支払われます。満期保険金はありません。保険期間満了後、契約は一定の条件で更新されます。


終身保険・・・生涯の死亡・高度障害の保障を目的としたもの。死亡または高度障害になったときには保険金が支払われます。保険料の払い込みは一定期間で終了するもの(有期払込)と生涯にわたるもの(終身払込)があります。解約返戻金は老後資金準備にも活用できます。


定期保険特約付終身保険・・・生涯の死亡・高度障害の保障を満たし、しかも責任の重い時期に大きな保障を目的としたもの。終身保険に定期保険特約を上乗せした保険。定期保険特約がついている保険期間内に死亡または高度障害になったときには、終身保険と定期保険特約を合わせた保険金が支払われます。保険料の払い込みは、一定期間で終了するもの(有期払込)と生涯わたるもの(終身払込)があります。解約返戻金は老後資金準備にも活用できます。


利率変動型積立終身保険・・・積立部分と保障部分を明確に分離することにより、積立部分で資金準備や生涯の死亡保障を、保障部分で大きな死亡保障や医療保障などを確保することを目的としたもの。

死亡保障は積立部分を利用して増額の見直しができます。積立部分は、保険料払込満了時に生涯保障へ変更することができます。保険料の払い込みは、一定期間で終了するもの(有期払込)と生涯にわたるもの(終身払込)があり、積立部分の予定利率は、各社それぞれの運用実績にもとづいて変更します。

積立部分はそのまま継続し、保障部分だけの見直しができ、積立部分の活用により、払込保険料の調整をすることができます。


養老保険・・・死亡・高度障害の保障と合わせ、資金準備などを目的としたもの。死亡保険金額と満期保険金額は同額です。


定期保険特約付養老保険・・・死亡・高度障害の保障に重点をおきながら資金準備を目的としたもの。養老保険に定期保険特約を上乗せして、死亡または高度障害になったときには養老保険と定期保険特約を合わせた保険金が支払われ、満期のときには満期保険金が支払われます。


生存給付金付定期保険・・・死亡・高度障害の保障と合わせ、資金準備などを目的としたもの。保険期間中、一定時期に生存給付金が支払われます。


貯蓄保険・・・教育・結婚・独立資金、その他短期間の資金準備などを目的としたもの。満期のときには満期保険金、災害や所定の感染症で死亡したときには所定の災害死亡保険金、病気で死亡したときには払い込んだ保険料に応じた死亡給付金が支払われます。


こども保険・・・子どもの教育・結婚などの資金準備を目的としたもの。子どもが被保険者、通常、親が契約者で加入します。保険期間内に契約者が死亡したときには、それ以降の保険料の払い込みは免除されます。満期保険金のほかに、養育年金や学齢期などに入学祝金が支払われるものもあります。


個人年金保険・・・老後資金の準備を目的としたもの。年金の支払方法には、①終身年金(生存している限り年金が支払われる)、②保証期間付終身年金(保証期間中は生死に関係なく年金が支払われ、その後も生存しているときには終身にわたり年金が支払われる)、③確定年金(生死に関係なく、定められた期間だけ年金が支払われる)、④有期年金(5年・10年とあらかじめ定められた受給期間に生きている場合に限り年金が支払われる)、⑤保証期間付有期年金(保証期間中は生死に関係なく年金が支払われ、その後は生きている場合に限り、あらかじめ定められた期間に年金が支払われる)があります。

保険料払込期間中に死亡したときには、払い込まれた保険料相当額の死亡給付金が支払われます。保険料払込期間中に高度障害になったときには、それ以降の保険料の払い込みは免除されます。


介護保険・・・介護を要する状態になった場合の保障を目的としたもの。約款に定める所定の要介護状態になり、その状態が一定期間継続したと医師により診断確定されたときに、介護一時金(保険金)または介護年金、介護一時金+介護年金が支払われます。

年金は一定期間、または一生涯支払われます。公的介護保険の要介護認定に連動して支払われるものもあります。

死亡した場合には死亡給付金が支払われますが、金額は少額なものや介護保障と同額のものがあります。保証期間は定額型と終身型があります。


医療保険・・・病気やケガで入院・手術した場合の保障を目的としたもの。病気やケガで入院・手術した場合に入院・手術給付金が支払われます。保証期間は定期型または終身型。最近では死亡保険金がないものが多く、解約返戻金のないものもあります。一般に満期保険金はありません。保険期間満了時までに入院がなかった場合などに、健康祝金・無事故給付金などが支払われるものもあります。


がん保険・・・がんによる死亡時の保障と合わせて、がんによる入院・手術の保障を目的としたもの。がんによる入院・所定の手術を受けたときに給付金が、がんによる死亡時に保険金が支払われます。保障期間は定期型または終身型。がん以外による死亡の保険金は少額で、ないものもあります。がん診断給付金や退院後療養給付金が支払われるものもあります。契約から90日間の「待ち期間」経過後が、がん責任開始期で、がん責任開始期前にがんと診断された場合、保険契約は無効となります。


特定疾病補償保険・・・死亡・高度障害時の保障と合わせて、がん・急性心筋梗塞・脳卒中にかかった場合の闘病資金準備等を目的としたもの。前記三大生活習慣病にかかった場合に、死亡保険金と同額の特定疾病保険金が生存中に支払われ、その時点で契約は消滅します。三大生活習慣病にかからない場合でも、死亡または高度障害になったときは、保険金が支払われます。


外貨建保険・・・米ドル・豪ドル・ユーロなどの外貨建てで、老後資金の準備などを目的としたもの。外貨(米ドル・豪ドル・ユーロなど)で保険料を払い込み、外貨で年金や解約返戻金などを受け取ります。為替リスクがあります。


外貨建年金保険・・・米ドル・豪ドル・ユーロなどの外貨建てで、老後資金の準備を目的としたもの。外貨(米ドル・豪ドル・ユーロなど)で保険料を払い込み、外貨で年金や解約返戻金などを受け取ります。為替リスクがあります。

・外貨建保険・外貨建年金保険ともに特約付加により円で受け取るものもあります。


【変額保険】

変額保険(終身型)・・・生涯の死亡・高度障害の保障を目的としたもの(老後資金にも活用できる)。保障額は資産の運用実績にもとづいて毎月増減しますが、死亡・高度障害保険金については、契約時の保険金額(基本保険金額)は保証されています。


変額保険(有期型)・・・死亡・高度障害の保障と合わせ、資金準備などを目的としたもの。保障額は資産の運用実績にもとづいて毎月増減しますが、死亡・高度障害保険金については、契約時の保険金額(基本保険金額)は保証されています。満期保険金額については原則として保証されていないので、資産の運用実績によっては基本保険金額を下回ることもあります。


変額個人年金保険・・・自己責任による資産形成を目的とするもの。資産の運用実績により、受け取る年金額や解約返戻金額などが増減します。商品によって、年金額または年金原資が保証されていないタイプと、一定の最低保証を設けているものがあります。年金支払開始日前日の積立金が年金原資となり、年金支払が開始してからの年金額は定額です。解約は年金支払開始日前に限り可能。解約返戻金は特別勘定の運用実績に応じた積立金をもとに計算され、毎日変動します(原則として最低保証はありません)。


②特約の種類

災害割増特約・・・災害により事故の日から180日以内に死亡・高度障害になったとき、また所定の感染症で死亡・高度障害になったときに、所定の保険金が支払われます。


傷害特約・・・災害により事故の日から180日以内に死亡したり、所定の感染症で死亡したときは災害保険金が、また災害で所定の身体障害になったときは、その程度に応じて所定の障害給付金が支払われます。


災害入院特約・・・災害により事故の日から180日以内に開始した入院について、給付金日額×入院日数の入院給付金が支払われます。


疾病入院特約・・・病気の治療を目的として入院したとき、給付金日額×入院日数の入院給付金が支払われます。災害や病気で手術したときに、所定の手術給付金が支払われるものもあります。


生活習慣病入院特約(成人病入院特約)・・・生活習慣病(がん、高血圧性疾患、心疾患、脳血管疾患、糖尿病)で入院したときに、給付金日額×入院日数の入院給付金が支払われます。生活習慣病で手術したときに所定の手術給付金が支払われるものもあります。


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2.保険料の仕組み

(1)収支相等の原則

保険料を算定する場合には、年齢別・性別の集団について、契約の始期から終期までの間で、集団の各人から払い込まれる保険料の総額と予定の運用収益との合計額(収入)が、支払われる保険金の総額と予定の経費との合計額(支出)に等しくなるよう計算されています。これを収支相等の原則といいます。

(2)保険料算定の3要素

保険料は、予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つの予定率(あらかじめ予定した基礎率)にもとづいて計算されます。

①予定死亡率

生命表によって、各年齢・性別ごとの生死を予測することができます。これをもとに、将来の保険金にあてる保険料を計算しますが、それに用いる死亡率を予定死亡率といいます、


(ア)生命表
・国民生命表・経験生命表・・・厚生労働省が国勢調査などをもとに作成したものを国民生命表といい、生命保険会社や共済組合などがそれぞれの被保険者集団の経験をもとに作成したものを経験生命表といいます。


・生保標準生命表2018・・・現在、生命保険会社では、経験生命表である「生保標準生命表2018」等を保険料算定の基礎として使用しています。これにより生存率、死亡率、平均余命などの年齢別、男女別の危険度がわかります。


・男女別の料率・・・女性の死亡率は男性より低いので、それを反映して男女別の料率を採用しています。


(イ)平均余命と平均寿命
生命表により各年齢者が今後平均して生存できる年数がわかり、この年数を平均余命といいます。また、0歳の平均余命を平均寿命といいます。


・日本人の平均寿命・・・令和3年では男性が約81歳、女性が約88歳。世界トップ水準となっています。


②予定利率

保険料は、あらかじめ一定の運用収益を見込んで割り引いています。この割引に使用する利率を予定利率といいます。予定利率を高く見込めばそれだけ保険料を安くすることができますが、いったん定めた予定利率はその契約が終了するまで維持されなくてはならないため安全性、確実性を見込んで決められています。


③予定事業費率

生命保険会社は、保険事業の運営上、必要とする経費をあらかじめ見込んで、保険料の中に組み込んでいます。この割合を予定事業費率といいます。


(3)予定率の変化と保険料

保険料は前記3つの予定率にもとづいて計算されるので、予定率が変わると保険料に影響します。


●予定率の変化・・・各生命保険会社では、平均寿命の延びによって低い予定死亡率表を用いたり、経営努力によって予定事業費率を下げたり、市中金利や運用状況により予定利率を上下させたりするなどにより、予定率の見直しを行い、保険料の改定を行うことがあります。


(4)保険料の構成

契約者が生命保険会社へ払い込む保険料は、①保険金を支払うための財源となる純保険料、②生命保険会社が保険事業を維持・管理していくために必要な費用としての付加保険料の2つの部分から成り立っています。


・純保険料の構成・・・純保険料は死亡保険金を支払うための財源となる死亡保険料と、満期保険金を支払うための財源となる生存保険料の2つで構成されています。


・純保険料は予定死亡率と予定利率を基礎として計算します。


・付加保険料は予定事業費率を基礎として計算します。


(5)解約返戻金

生命保険を解約したときに、契約者に返還する金額を解約返戻金といいます。解約返戻金は、払い込まれた保険料から、年々の死亡保険金の支払いにあてられる部分と、生命保険の運営に必要な経費にあてられる部分を除いた残額を基準として定めた金額です。


・解約返戻金の少ない理由・・・加入後しばらくの間は、保険料の大部分が死亡保険金の支払いや、販売・診査・証券作成などの経費にあてられるので、通常場合、解約返戻金は全くないか、あってもごくわずかです。


・その他の要素による相違点・・・保険種類、性別、契約年齢、払込方法(回数)、経過年数、保険期間、保険金額などによっても金額が異なります。


3.剰余金と配当金

・剰余金・・・生命保険会社は、①健康でない人が加入し全体の死亡率を悪くすることがないように、②預かった保険料は、より安全、確実、有利に運用するように、③制度運営の経費は少しでも削減するように、といった経営努力を行っているので、毎事業年度末の決算では、たいていの場合、余りが生じます。この余った部分を剰余金といいます。


・剰余金の3利源・・・死差益、利差益、費差益の3利源からなっています。


・死差益・・・予定死亡率による死亡者数より、実際の死亡者数が少ない場合に生じる利益を死差益といいます。
・利差益・・・予定利率による運用収入見込額より、実際の運用収入が多い場合に生じる利益を利差益といいます。
・費差益・・・予定事業費率による事業費より、実際に使った事業費率が削減できた場合に生じる利益を費差益といいます。


・定款・約款では・・・相互会社の場合、剰余金の一定割合を、社員配当準備金に繰り入れ、これを財源として契約者に対して配当金を支払うことを定めています。


・有配当保険・・・剰余金を配当金として還元する保険。
・利差配当付保険・・・剰余金の中でも利差益のみを配当金として還元する保険。
・無配当保険・・・3つの予定率すべてについて無配当用の基礎率を設定し、保険料を割り引く代わりに剰余金の分配を行わない保険。


・配当金の役割・・・3つの予定率にもとづいて預かった保険料を、実際にかかった保険料と精算して契約者の実質負担を軽減するという役割をもっています。


・配当金の額・・・保険種類、性別、契約年齢、払込方法(回数)、経過年数、保険期間、保険金額などによって違いがありますが、お互いに公平になるよう計算されています。


配当額は毎年の決算に応じて決定します。配当額は変動(増減)し、決算実績によっては0(ゼロ)となる年度もあります。したがって、契約時に示す配当額は、将来の支払額を約束するものではありません。


・特別配当・・・長期継続契約については、通常配当の他に、特別配当を支払うことがあります。

Ⅱ.生命保険の約款

1.約款とご契約のしおり

・約款・・・生命保険契約は、生命保険会社と契約者との間で取り交わす約束で、この内容となるお互いの権利義務を規定したものが約款です。


・約款は保険種類ごとに作成・・・生命保険会社は、すべての契約者が公平な条件で契約ができ、また、利益を受けられるよう、保険種類ごとに契約内容をあらかじめ一定にした約款を作成します。


・内閣総理大臣の認可・・・約款の作成や改正には、内閣総理大臣の認可が必要です。


・ご契約のしおり-定款・約款・・・約款の中から、契約者にとって特に大切な部分を抜き出し、平易に解説したものが”ご契約のしおり”です。原則として、定款・約款と合本し、「ご契約のしおり-定款・約款」として配付します。


2.契約に際して

(1)契約の申込み

生命保険契約に加入したいという意思表示を申込みといい、生命保険会社が作成した申込書により行います。


・意向把握、情報提供・・・申込みに至るまでには、お客さま意向を把握し、保険契約者または被保険者が保険契約の締結または加入の適否を判断するための情報の提供を行います。


・申込書記入上の留意点・・・契約者自身(被保険者欄については被保険者自身)に記入していただき、契約内容を十分確認いただいたうえで、署名、押印していただきます。契約者と被保険者が異なる場合には、被保険者の同意を得ることが必要です。また申込書を記入いただく際には適切な助言を行います。


(2)告知

①告知義務

(ア)告知義務の必要性・・・保険料は、年代別・性別の予定死亡率にもとづく危険度を基準にして定めていますが、健康状態や職業など年齢別・性別以外の危険度の高い人には、特別の条件をつける、契約を断るなどして、加入者相互間の公平性を保たなければなりません。しかし、これらの危険度を個々に迅速に生命保険会社で調査することは不可能に近いです。


告知義務・・・契約を申し込む際、被保険者(または契約者)は、生命保険会社が判断する要素となる重要な事項について、ありのままを生命保険会社に告げなければならないことを約款に定めており、これを告知義務といいます。


(イ)告知義務者・・・被保険者(または契約者)。


(ウ)告知の方法・・・事前に告知義務者「告知サポート資料」を提示し、正しい告知について理解いただきます。そのうえで、生命保険会社が告知を求めた事項について、告知書(告知欄)にありのままを記入していただきます。


・私たち(生命保険募集人)への口頭での告知・・・生命保険会社が告知を受けたことにはならないので、告知書に告知義務者自身で記入していただくことが重要です。


・医師の診査による契約の場合・・・診査医が告知書(告知欄)にもとづき質問した事項について、告知義務者にありのままを答えていただきます。その内容は診査医が記録するので、必ず告知義務者に内容確認後、署名(自署)していただきます。


(エ)告知の時期・・・契約申込みのとき、および復活のとき。


(オ)告知する内容・・・危険度を判断する要素となる重要な事項で、その主なものは被保険者(または契約者)の現在の職業、最近の健康状態、過去の傷病歴、身体の障害状態などで、具体的には告知書(告知欄)に質問事項として記載してあります。


②告知が事実と相違する場合

・告知義務違反・・・契約の申込みや復活のときなど、生命保険会社が告知を求めた事項について、被保険者(または契約者)が、故意または重大な過失により、事実を告知しなかったり、事実と違うことを告げていたりしていた場合には、告知義務違反となります。


・契約の解除・・・医師の診査による契約、告知書(告知欄)による契約などいずれの場合でも、契約確認などによって生命保険会社が告知義務違反を知った場合でも、契約確認などによって生命保険会社が告知義務違反を知った場合は、生命保険会社はその契約を解除できます。


・保険金や給付金の支払い・・・生命保険会社が保険契約を解除した場合、たとえ保険金や給付金の支払事由が発生していても支払いません。


・因果関係がないことを証明したとき・・・上記の場合でも、保険契約者側(被保険者、保険金受取人を含む)が支払事由等と解除の原因となった事実との間に全く因果関係がないことを証明したときには保険金や給付金を支払います。


・解除権消滅・・・次の場合には、生命保険会社は保険契約を解除できません。
①契約が契約日(または復活日)から2年を超えて有効に継続した場合
②生命保険会社が解除の原因を知ってから1ヵ月以内に保険契約の解除を行わなかった場合
③生命保険会社に対して、事実を告げるのを妨げる行為(告知妨害)や、事実を告げないようにすすめる行為(不告知教唆)などを、生命保険募集人等が行っていた場合
④保険契約締結時に生命保険会社が告知義務違反の事実を知っていたかまたは過失により知らなかった場合


・解除した場合・・・生命保険会社は解約返戻金があれば、契約者に対してこれを支払います。


・支払事由等が2年以内に発生していた場合・・・契約日(または復活日)から2年を経過していても、保険金や給付金の支払事由等が2年目以内に発生していた場合には、保険解約を解除することがあります。


・告知義務違反の内容が特に重大な場合・・・現在の医療水準では治癒が困難または死亡危険の極めて高い疾患の現病歴・既往症等について告知をされなかった場合等は、「詐欺による契約の取消し」となることがあり、2年経過後にも取消しとなることがあります。この場合、既払込保険料は返還されません。


③告知義務違反をすすめる行為の禁止

・生命保険募集人が、告知義務違反をすすめる行為は、保険業法によって禁止されています。
・告知義務違反をすすめる行為・・・被保険者(または契約者)が生命保険会社に告知を行うにあたって、虚偽のことを告げるようにすすめる行為や、事実を告げるのを妨げる行為、事実を告げないようにする行為などがこれに該当します。


・お客さまに対して「告知義務違反をしても2年経過すれば契約は解除されないので、正しい告知をする必要はありません。」などと説明することは、お客さまの誤解を招くものであり、断じて行ってはなりません。このような説明を行った場合、お客さまとの間に重大なトラブルが発生し、また、お客さまからの信頼を失墜させるおそれもあります。


・「告知義務違反をすすめる行為」は保険業法上の禁止行為であり、違反の内容によっては「虚偽の説明」などの行為とともに、行政処分や司法処分の対象となります。この他、所属会社の社内規定等によっても処分されることがあります。


(3)契約の承諾と特別条件

・契約の承諾・・・保険契約の申込みに対して、保険者(生命保険会社)がその契約を成立させる旨の意思表示を承諾といいます。


・承諾の条件・・・生命保険会社は、申込書によって加入意志を確認し、同時に年齢、保険金額、職業、健康状態などを検討して、それが一定の危険の範囲内であれば、その申込みを承諾します。


・特別条件・・・危険度の判断の結果、被保険者の健康状態が標準の人の危険度よりも高いと判断される場合には、他の契約者との公平性を保つため、加入を断る場合と、「保険料の割増」や「保険金の削減」、「特定の疾病や部位の不担保」とする特別な条件をつけて引き受ける場合があります。


・特別条件付きで引き受ける場合・・・生命保険会社から契約条件の変更を契約者に示し、契約者・被保険者がこれを認め承諾書に署名、押印した場合、契約が成立します。
※傷病履歴がある方すべてに特別の条件をつけて契約したり、あるいはお断りしたりするわけではなく、傷病等の内容によっては特別の条件をつけずに契約できる場合もあります。


(4)お客さまによる告知内容と契約内容の確認

・告知内容の確認・・・契約を引き受けると、契約成立後に「告知書(告知欄)の写し」をお客さまに送付する等の対応とともに、お客さまからの照会を受けた際にも再度送付する等の対応等を実施します。生命保険会社によっては、契約申込み時に「告知書(告知欄)」を複写式で作成し、控えをお客さまに交付します。


・契約内容の確認・・・契約成立後に「保険証券」を契約者に送付し、契約内容を確認していただきます。


・記載事項と契約内容が相違している場合・・・記載事項が申込みの際の内容と相違している場合には、すぐに生命保険会社に申し出ていただくよう説明しておくことも大切です。


(5)契約確認と事実の確認(保険金・給付金等請求時)

個々の契約の危険度の判断に際し、生命保険会社は被保険者の身体状況(傷病履歴)・職業などできる限り多くの正確な情報を収集し、種々の危険を分析し、総合的判断を行う必要がありますが、診査を行った契約でも、既往歴や自覚症状の正確な告知がないとわかりにくい疾患や、職業についても申込書だけでは判断が難しい場合があります。そこで、生命保険会社は、告知(診査)や契約取扱者の報告などの他に、生命保険会社の職員または生命保険会社が委託した者によって告知内容の確認を行う場合があり、これを「契約確認」といいます。


・確認の時期・・・一定基準以上の申込みや特に生命保険会社が必要と認めた申込みを対象に行われる成立前確認と、成立後の契約を対象に行われる成立後確認とがあります。


・確認の結果・・・申込内容や告知内容などについて事実と相違していることが判明した場合には、契約を引き受けないか、または契約成立後であれば契約を解除することができます。


・事実の確認・・・お客さまが保険金・給付金等の請求をされたときに、生命保険会社の職員または生命保険会社が委託した者によって、治療・事故の状況などの「事実の確認(保険金・給付金確認)」を行う場合があります。


(6)契約の取消し・無効

・契約者または被保険者の詐欺による契約の場合は、「契約の取消し」となり、すでに払い込んだ保険料については返還されません。「告知義務違反の内容が特に重大な場合」などが対象です。契約日(または復活日)からの年月にかかわらず取消しとなる場合があります。


・被保険者の年齢が生命保険会社所定の範囲外の場合、生命保険会社は契約を取り消すことができます。この場合、すでに払い込まれた保険料は全額返還します。


・契約者が保険金を不法に取得する目的または他人に不法に取得させる目的をもつ契約の場合は、「契約の無効」となります。この場合は、契約日(または復活日)からの年月は問いません。すでに払い込まれた保険料は返還されません。


(7)責任開始期

契約上の責任が開始されるためには、生命保険会社の承諾が前提となりますが、生命保険会社が申込みを承諾した場合、責任開始期は単に申込書の提出時ではなく、申込み、告知(診査)、第1回保険料(充当金)の払い込みの3つがすべて完了したときになりますか?


・契約日・・・生命保険会社が契約上の責任を開始する日を、契約日といいます。


・留意点・・・お客さまが告知(診査)をする日や第1回保険料(充当金)を払い込む日は、責任開始期と密接な関係があります。したがって、私たちは医師の診査が必要な契約については、早く審査の手続きをとるとともに、お客さまから第1回保険料(充当金)を受け取ったときは、領収証の日付を正確に記入し、すみやかに生命保険会社に入金することが必要です。


・特別条件付契約の責任開始期・・・特別条件のつかない契約と同様に取り扱います。


(8)クーリング・オフ(契約撤回請求権)

・クーリング・オフは、契約内容をもう一度検討できる時間的余裕を契約者に提供し、契約申込みが十分な納得のうえで行われるようにするための制度です。


・クーリング・オフの条件・・・契約者から文書(書面にその意思を明記)の郵送により申し出ていただくが、消印日付が次の①、②のいずれか遅い日を含めて8日以内であることが必要です。
①「契約申込みの撤回などについての事項を記載した書面」を交付された日


②「申込み」をした日


・申込みが撤回または契約が解除された場合・・・既払込金額を返します。


・契約申込み撤回等の取り扱いができない場合・・・生命保険会社指定の医師の診査を受けたあとは契約申込み撤回等の取り扱いができません。


3.保険金・給付金を支払わない場合

(1)「死亡保険金」を支払わない場合

・保険金の支払い・・・生命保険会社は、約款に定めた保険事故が発生した場合、所定の死亡保険金を支払う義務を負います。


・死亡保険金の支払い対象・・・死亡保険金の支払事由として「保険期間中に被保険者が死亡した場合」と定められている場合、原則として、保険期間中の死亡であれば、その原因(疾病・災害等)を問わず保険金の支払対象となります。


・保険法による保険金支払い義務の免除・・・保険制度の健全な運営を妨げたり、善良な契約者の利益を害したり、社会一般の公益に反したりすることもあるので、保険法では保険金を支払わなくてもよい場合を示し、生命保険会社の保険金支払い義務を免除しています。約款はこれを受けて、死亡保険金を支払わない場合を定めており、これを免責といいます。


・保険料積立金の払い戻し・・・以下の免責事由によって保険契約が終了したときには、契約者が被保険者を故意に死亡させた場合を除き、生命保険会社は契約者に保険料積立金を払い戻す必要があります。


・「死亡保険金」を支払わない場合
①被保険者が契約日または復活日から所定期間以内に自殺したとき。これは、自殺を決意している人が、保険金目当てに加入することを防ぐため。


②死亡保険金受取人が故意に被保険者を死亡させたとき。
ただし、受取人が複数の場合で、被保険者の殺害にまったく無関係な受取人に対しては、その人の受け取るべき割合の保険金を支払います。


③契約者が故意に被保険者を死亡させたとき。


④被保険者が戦争その他の変乱によって死亡したとき。
ただし、保険の計算基礎に及ぼす影響が少ない生命保険会社が認めた場合には、保険金を全額または削減して支払うことがあります。


(2)「災害死亡保険金」や「給付金」を支払わない場合

①契約者または被保険者の故意または重大な過失によるとき。


②災害死亡保険金受取人の故意または重大な過失によるとき(その受取人が保険金の一部の受取人である場合は、生命保険会社は他の受取人に対してその残額を支払います)。


③被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故によるとき。


④被保険者が、法令に定める運転資格をもたないで運転している間に生じた事故によるとき。


⑤被保険者が、法令に定める酒気帯び運転またはこれに相当する運転をしている間に生じた事故によるとき。


⑥地震、噴火または津波によるとき。


⑦戦争その他の変乱によるとき。
ただし、上記②については、災害死亡保険金の支払いについてのみ適用され、被保険者が他の免責事由に該当していない限り、給付金は被保険者に対して支払われます。
また、上記⑥、⑦については、保険の計算基礎に及ぼす影響が少ないと生命保険会社が認めた場合には、保険金などを全額または削減して支払うことがあります。


(3)その他支払いができない場合

・高度障害保険金や入院給付金等は、これらの原因(疾病、障害や不慮の事故)が責任開始期以後に生じたこと等が支払いの要件とされており、責任開始期前に生じていた場合、約款の支払事由に該当せず、保険金・給付金等は支払われません。


・告知義務違反で契約が解除された場合、詐欺などによって契約が取り消された場合、契約が無効である場合などにも保険金等が支払われない場合もあります。


4.保険料の払い込み

・保険料支払いの義務・・・契約が成立すると契約者は、保険料の支払いの義務を負います。


(1)保険料の払込方法(経路)

契約者は、生命保険会社の定めるところにより、口座振替、団体(集団)扱、集金、振替送金、現金持参のいずれかの払込方法を選択することができます。

●払込方法(経路)の種類

①口座振替・・・契約者の指定した口座が生命保険会社の定めた銀行、信用金庫などにある口座である場合に、その口座から保険料を生命保険会社の口座に振り替えることにより払い込む方法。振替日はあらかじめ決まっています。


②団体(集団)扱・・・契約者の所属する勤務先団体(集団)と生命保険会社との間に「保険料の取り次ぎに関する団体(集団)を経由して給与引去りで払い込む方法。


③集金・・・契約者の指定した集金先が生命保険会社の定めた集金実施地区内にある場合に、生命保険会社の派遣した集金担当者に払い込む方法。


④振替送金・・・あらかじめ生命保険会社から届けられた振替(振込)用紙により、契約者が生命保険会社指定の銀行の窓口などで保険料を払い込む方法。


⑤現金持参・・・生命保険会社の本社(本店)または指定した場所に契約者が保険料(現金)を持参して払い込む方法。


●転居などの場合・・・住所、集金場所が変わったり、あるいは銀行などの預金口座を変更する場合には、必ず生命保険会社または担当者・保険代理店に連絡していただくよう契約者に説明しておくことも大切です。


(2)保険料の払込猶予期間

保険料は、契約ごとに決められた払込期月内に払い込むことが必要ですが、1日でも遅れるとすぐに契約が効力を失うのでは実情に合わないので、払込期月が過ぎても一定の猶予期間を設けています。


●払込方法別の猶予期間・・・次のとおり、保険料の払込方法により異なります。


①月払(個別)・・・払込期月の翌月初日から末日まで。


②年払・半年払・・・払込期月の翌月初日から翌々月の月単位の契約応当日(契約応当日がない場合は、その月の末日)まで。契約応当日が2月・6月・11月の各末日の場合は、それぞれ4月・8月・1月の各末日まで。


③団体月払・・・生命保険会社により取り扱いが異なります。


●猶予期間中の死亡事故・・・死亡保険金から未払込保険料を差し引いた金額を支払います。


(3)保険料の前納

まだ払込時期の到来していない将来の保険料の一部または全部を払い込むこと。前納保険料は払込時期が到来するまで生命保険会社に積み立てられ、払込時期が到来するつど保険料に充当されます。
・所定の利率による割引があり、保険期間中(短期払込の場合は保険料払込期間中)に契約が消滅(解約・死亡など)した場合、まだ払込時期が到来していない前納保険料は契約者等に返還されます。


5.失効と復活

●失効・・・払込猶予期間を経過しても保険料が払い込まれない場合、契約は効力を失います。これを失効といいます。
・失効すると支払事由に相当する事故が起きても保険金等は支払われません。


●復活・・・失効した契約でも、失効してから所定の期間内(通常は3年以内)で被保険者の健康状態に異常がなければ、所定の手続きをとり、契約の効力を元に戻すことができます。これを復活といいます。


・復活の手続き・・・告知書(保険種類、失効期間、保険金額などにより診査を必要とする場合もある)を提出し、生命保険会社の承諾を得るとともに、未払込保険料(延滞保険料)を払い込むことが必要。


・復活した場合・・・失効中に支払事由に相当する事項が発生した場合は保障の対象となりません。


・失効した場合・・・私たちは契約者に対し、失効することのないように十分説明し、失効した場合はすみやかに復活するようにすすめます。


6.保険料の払い込みが困難になった場合

(1)一時的に保険料の払い込みが困難になったとき

●(自動)振替貸付・・・生命保険会社が解約返戻金の範囲内で、保険料を自動的に立て替えて、契約を有効に継続させる制度。約款に規定により、この制度が適用される契約が対象。

・利息・・・生命保険会社の定める利率で利息をいただくことになっており、この利率は年2回見直すことになっています。


●この制度が利用できない場合・・・契約後の経過期間が短いため解約返戻金が少ないときや、保険種類によって解約返戻金が少ないときには、十分に活用できず失効する場合があるため、契約者に、このことを十分に説明し、理解していただくことが必要です。


●(自動)振替貸付を利用した場合・・・契約者はいつでも返済でき、満期や死亡などのときに未返済額がある場合は、支払うべき金額から立て替えた金額とその利息を差し引きます。


(2)途中から保険料を支払わずに契約を有効に続けたいとき

払済保険や延長(定期)保険に変更する方法があります。


①払済保険・・・保険料の払い込みを中止して、そのときの解約返戻金をもとに、元の契約の保険期間を変えないで、元の契約と同じ種類の保険もしくは一時払の養老保険等に変更します。保険金額は、一般に元の契約より小さくなります。


②延長(定期)保険・・・保険料の払い込みを中止し、そのときの解約返戻金をもとに、元の契約の保険金額を変えないで保険期間を定め、死亡または高度障害になったときのみ保険金が支払われる一時払の定期保険に変更します。

・解約返戻金をもとに計算した保険期間が、元の契約の満期を超える場合・・・満期までとし、満期のときには生存保険金を支払います。


●払済保険・延長(定期)保険に変更した場合・・・各種特約の保障はなくなります。


(3)保険料の負担を軽くしたいとき

●保険金の減額・・・生命保険会社の定めた範囲内で、保険金額を下げる方法で、保険料の負担もこれに応じて軽くなります。減額部分は解約されたものとして取り扱い、解約返戻金があれば払い戻します。


7.契約者貸付

●契約者貸付・・・通常、貸付金の元利金がすぐに解約返戻金額を超えないよう、解約返戻金の一定範囲内で、生命保険会社から貸付が受けられます。


●利息・・・貸付金については、生命保険会社の定める利率で利息をいただきます。この利率は年2回見直すことになっています。


●資産運用・・・将来の保険金などの支払いへの備えや、契約者配当の財源とするため、資金を効率的に運用する必要があり、契約者貸付もその運用の一部となっています。銀行預金のように自分のお金を払い出すのではなく、生命保険会社が資産運用の一環として適正な利息で貸付を行う制度です。


●配当金・・・貸付を受けた契約でも貸付を受けていない契約と同様の配当金が支払われます。


●利用方法・・・緊急予備資金として有効に利用できます。


8.解約

●解約・・・契約者の申し出により、以後の契約の継続を打ち切ることを解約といい、解約すると、その時点で契約は消滅します。


●解約返戻金・・・生命保険会社は、返還すべき金額があれば、これを解約返戻金として契約者に払い戻しますが、通常の場合、その金額は払い込んだ保険料合計額より少なくなります。


●大切な財産・・・生命保険は家庭の経済準備に欠かせない大切な財産なので、満期まで継続することが必要です。


●解約すると発生する不利益
①保障がなくなるだけでなく、その後新たに契約する場合は、以前より契約年齢が高くなっているので、保険料が高くなります。
②新たに契約するときの健康状態によっては、加入できない場合があります。
③配当金を受け取る権利もなくなります。


●特約の解約や、保険金等の減額・・・該当部分については解約と同様の効果(不利益)があります。


9.配当金の支払方法

●配当金の割り当て・・・有配当保険の配当金は、死差益、利差益、費差益の各利源別に割り当てが決められます。このうち、利差益のみ配当金として個々の契約に割り当てられるものが、利差配当付保険です。


(1)支払時期

●配当金の支払時期・・・有配当保険には、支払時期に応じて、毎年配当型、3年ごと配当型、5年ごと配当型などがあり、毎年配当型の場合、配当金は通常、契約後3年目から支払われます。


●3年目から支払われる理由・・・毎年の決算日(3月31日)に、契約後1年を超えた契約に対して割り当てられ、原則としてその後にやってくる契約応当日に支払われるためです。


・たとえば、令和5年7月に成立した年払の契約の場合、第1回目の配当金は令和7年3月に割り当てられ、第3回目の契約応当日の令和7年7月に支払われます。このように払込回数と配当回数は2回ずつずれるので、満期のとき、満期後に支払われるべき2回分の配当金を支払います。


●5年ごと利差配当型の場合・・・契約後5年の運用実績に応じて第1回目の配当が割り当てられ、通常、契約後6年目から5年ごとに支払われます。


(2)支払方法

●方法の選択・・・どの方法で受け取るかは契約時に決めますが、保険種類によっては支払方法があらかじめ決められ、選択できない場合があります。


●支払方法・・・次の①~④の方法があります。

①積立(据置)方法・・・配当金に利息をつけて積み立て、保険金支払時、または契約者の請求時に支払います。積み立てた配当金は複利で運用されます。


②保険金買増方法・・・配当金を一時払保険料として保険金を買い増していく方法で買い増した分、年々保険金が増えます。


③相殺方法・・・配当金を保険料から差し引いて支払う方法です。


④現金支払方法・・・配当金を現金で支払う方法です。


10.保障の見直しに関する諸制度

●契約転換制度・・・現在の契約を解約することなく、その責任準備金や配当金など(転換価格)を新しい契約の一部に充当する方法。


●中途付加・・・現在の契約の保障内容や保険期間を変えずに、定期保険特約などを新たに付加して保障額を大きくする方法。中途付加時の契約年齢、保険料率により特約の保険料を計算し、現在の契約の保険料に加えて払い込みます。


●追加契約・・・現在の契約に追加して別の新しい保険契約に加入する方法。現在の契約はそのまま継続し、その契約とは異なる内容で保障を充実できます。新しい保険の契約時の契約年齢、保険料率により新しい保険の保険料を計算し、現在の契約の保険料とは別に払い込みます。


●保障の見直しに関する諸制度・・・契約者に保障の見直しをすすめる際は、「契約転換制度」「定期保険特約などの中途付加」および「追加契約」等があること、そしてそれぞれの仕組み・特徴などを説明し、理解いただきます。説明を十分に行ったうえで、「契約転換制度」による保障の見直しを取り扱う場合は、その利点とあわせて利用時の注意点を契約者に説明することが必要です。


(1)「契約転換制度」の利点

①所得や家族構成の変化などに合わせて、現在加入している契約を活かして保障額を増額したり、必要とする新しい保険種類に変えたりすることができます。


②現在加入している契約の責任準備金、配当金などを転換後の契約の一部に充当するので、その後の払込保険料は、その分だけ少なくてすみます。


③長期契約における特別配当の権利は、新しい契約にも引き継がれます。


(2)「契約転換制度」利用時の注意点

①契約転換により、保障内容、保険金額、保険料などが全く新しく切り換わること。


②具体的な保障内容などの変更点(転換前と転換後の契約を比較しながら説明する)。この説明の際には、契約者に対し、転換前と転換後の契約に関する重要な事項を対比して記載した書面を交付するとともに、契約者には、この書面を受領sじょ内容を了知した旨の確認(受領日の取付等)を得なければならない。


③「契約転換制度」を利用する際の保険料は、転換時の契約年齢、保険料率により計算されること。そのため、保険種類によっては、転換前契約よりも保険料が高くなる場合があること。


●なお、転換契約について、契約締結時には意向確認書面によって、お客さま意向の反映を確認します。


11.特約

●特約・・・死亡時の保障を大きくするだけでなく、障害時の保障、入院時の保障などを目的に、もとになる契約(主契約)に付加して保障内容を充実させる方法として各種の特約があります。


●単独で契約できない・・・特約は、単独では契約できず、また種類によっては、他の特約とあわせて契約しなければならないものもあります。


●特約商品の種類・・・災害割増特約、傷害特約、災害入院特約、疾病入院特約、生活習慣病入院特約(成人病入院特約)などがあります。


●保険期間の途中での付加・・・一般に、主契約を契約するときに付加しますが、特約商品によっては保険期間の途中で付加することもできます。


●その他の特約・・・約款では、保険料の払い方・保険料払込免除特約・保険金等の支払い(リビングニーズ特約や代理請求特約等)に係る特約もあり、種々のサービス充実とともに多様化しています。


●給付内容の正しい説明・・・契約時あるいは既契約の見直しの際、ニーズに合った特約商品を選択していただけるよう給付内容の正しい説明が必要です。


Ⅲ 契約の選択

1.選択の必要性

●選択の必要性・・・健全な被保険者が大量に加入することにより、危険度が予定死亡率の範囲内の被保険者集団が生まれ、保険事故の発生は、ほぼ安定した状態を保つことができます。健全な被保険者集団をつくるには、契約の選択が必要です。


●具体的な理由

①公平性・・・健康を害している人や、危険度の高い職業に従事している人でも普通の人と同じ条件で契約できるとすれば、一般に危険度の高い人ほど、生命保険に加入しようとする傾向があります。その結果、死亡保険金などの支払いが予定以上に多くなり、一般契約者に不利益を及ぼすことになります。


②倫理性・・・生命保険は大切な人の生命に関するものであるため、契約にあたって社会の公序良俗が乱されることがないよう倫理性を保つことが必要です。犯罪の可能性が認められる契約などは事前に排除しなければなりません。


③継続性・・・契約の失効や解約は、一般に危険度の低い契約に多いと考えられます。失効や解約が多くなると残った被保険者集団の危険が増大し、保険制度の健全な運営に支障をきたすので、契約の継続性を高く保つことが必要です。


●契約の選択・・・生命保険会社が契約希望者を上記の観点から選別し、契約の諾否、保険料率、保険金額、保険種類などの契約条件を決めることをいいます。


2.選択の手段と流れ


(1)3つの危険

選択の基準となるものは、①身体上の危険、②環境上の危険、③道徳上の危険(モラルリスク)の3つがあります。


①身体上の危険・・・被保険者の体格、過去の傷病歴、現在の健康状態、身体の障害状態などの違いによって危険度が異なるので、さ細な症状であっても、専門家の立場からみると大事な情報となります。


②環境上の危険・・・被保険者の現在の職業や仕事の内容などによって危険度が異なるので、具体的な情報が必要です。


③道徳上の危険(モラルリスク)・・・生命保険を悪用し、生命や身体を故意に損傷して保険金や給付金などを不当に得ようとすること。これを事前に防止するための情報が必要です。


(2)選択の手段と流れ

●ありのままを生命保険会社へ報告・・・被保険者および契約者に必ず面接し、本人であることを確認するとともに、次のような事項に注意し、ありのままを生命保険会社へ報告しなければなりません。


①被保険者の危険度を正確に知るための事項について告知書(告知欄)にありのままを記入していただく。


②被保険者の顔色や身体の状況などをよく観察して必要な質問をし、申告書の取扱者の報告欄に記入する。


③被保険者の現在の職業や仕事の内容を具体的に詳しく聞く。


④被保険者や契約者の年齢、資産状況、職業、収入などに比べ保険金額や給付金額が過大ではないか、申込経路や保険金受取人が第三者であるなど不自然な点はないかなどを確認する。


●被保険者の本人確認・・・生命保険会社は、診査時に、被保険者が所持する運転免許証等の証明書をみせていただくことなどによって、被保険者本人であることの確認を行います。


●選択の手段・・・必要に応じ診査医の診査報状、生命保険面接士の所定の報告書、団体の定期健康診断の健康管理証明書、契約確認など所定の手段や方法によって情報を収集して、契約の選択を行い、申込みの諾否と契約条件を決めます。


(3)標準体契約と特別条件付契約

●契約の選択の結果・・・生命保険会社が加入申込者と契約を締結するときには、次の2つに分けて契約を引き受けます。


①標準体契約・・・3つの危険から判断して、一定の危険の範囲内にある人々に対して、基準の保険料で契約を行う場合。


②特別条件付契約・・・一定の危険の範囲を超えているが、その危険の性格や度合いに応じて「保険料の割増」や「保険金の削減」、「特定の疾病や部位の不担保」などの特別条件をつけて引き受ける場合。


●特別条件付契約の主旨・・・標準体として契約できない人々に対して保障のニーズに応える方法です。


●危険度があまりにも高すぎることから契約を引き受けないこともあります。


3.選択と私たちの役割

●契約の選択における生命保険募集人の重要な役割・・・被保険者や契約者に最も多く面接でき、健康状態、家庭環境、職業などについても多くの情報を入手できる立場にあるので、選択においては重要な役割を果たしています。


●逆選択・・・一般に危険度の高い人は、生命保険に加入しようとする傾向が強く、自分に有利な契約を結ぼうとします。これを逆選択といいます。私たちはその防止に努めることが大切です。


●必要な情報の収集・・・最初に契約の選択に必要な情報の収集を十分に行わなかったため、後日トラブルが生じることのないように注意します。たとえば、契約時や診査時における告知が正しくなかったために、保険金や給付金が支払われないこともあります。


●生命保険会社への報告・・・選択上のトラブルはその後の募集活動に大きく影響するだけでなく、生命保険会社や私たちに対する契約者の信頼を失うことにもなります。私たちは、このような責任を十分に自覚し、契約の選択に必要な事項を正確に生命保険会社へ報告する必要があります。


4.契約内容登録制度

●契約内容登録制度・・・生命保険制度が健全に運営され、契約者に安心して利用していただけるよう生命保険協会では契約内容登録制度を管理・運営しています。この制度について、お客さまに十分説明しておくことが大切です。


●登録内容・・・保険契約の申込みをされた場合、①保険契約者ならびに被保険者の氏名、生年月日、性別、住所(市・区・郡まで)、②死亡保険金額、災害死亡保険金額、③入院給付金の種類、日額、④契約日、復活日、増額日、特約の中途付加日、⑤取扱会社名について生命保険協会の登録センターに登録されます。


●情報の利用・・・生命保険会社は、この登録された内容を契約の申込みを受ける際の引き受けの判断の参考、また、死亡保険金や入院給付金等の請求を受けた際の支払いの判断の参考にします。


●契約内容照会制度・・・2002年(平成14年)4月から隣接業界との間において契約内容を相互に照会するため「契約内容照会制度」を管理・運営しています。


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